まだ日は落ちていないけれど、待ちきれなくて早めの集合。


「楽しみだよね」

「あとでぐちんさんとにじさんのコンビも来るってさ」


今日は りかとお揃いの浴衣でお出かけなんだよ。

残念ながら、ゆんちゃんはお仕事で、今日は遅くなるみたい。

よもちゃんからは、あとで合流するよってLINEが今あったとこ。


「あぁ、そーそ。るいちゃん、ビアガーデンコーナーで、ななこちゃん達と飲んでるってさ」

「早っ!!もう既に始めてるのか!」

「ひと通り回ったらさ、うちらも行こっか。なんか奢ってもらえるかもよっ!」


ゆっくりと歩く。

真っ直ぐな、この道を。


「ねーねー、りか。ゆんちゃんとよもちゃんに、写真送るよ。えっと…さっきそこでちゃむさんに撮ってもらった、これ送ろーっと」

「うん、いいよ。ねね、莉菜、お腹空かない?着いたらまず、お好み焼き食べようよ」

「おおー!いいね!食べる食べるっ!」


祭りに向かう、黄昏の道。

なんとも言えないトキメキは、この上ない極上の瞬間。

それは、そう。

大好きな人と、一緒だから。

大好きなみんなに、逢いにいくから。


『ずっと続けばいいのにな。いつまでも、いつまでも』


そう願った心は、半分叶って、半分叶わない。


分かってるんだよ、分かってる。

だからこそ、大切にしなくちゃいけないんだ。


「りか。来年も、再来年もさ、一緒に来てくれる?」

「いいよ。祭りの日だけは、毎年空けとくよ。てか、莉菜、泣きそうじゃん。どした?」

「いあいあ、なんにもないよ。なんでもない。ごめんごめん。ささ、るいちゃん達が待ってるから、行くよー」



背中を向けて、こぼれ落ちそうになった涙が一つ。

夏の乾いた風の中に、すーっと飲み込まれ、それは落ちる前に消えていった。


この夏は、まだ終わらない。